呼吸器疾患の説明

気管支喘息

アレルギーや慢性気道炎症が原因で空気の通り道である気管、気管支の筋肉が収縮して気道が狭くなり、主に息を吐く時にヒューと音がして苦しい症状の病気です。最大の特徴は「可逆性」と言って、発作がない時は普通の人と変わらない状態に戻ることです。しかし、発作を繰り返していると、気道の表面が変化して元に戻らなくなるため慢性化、重症化してしまいます。現在でも年間1500人以上が喘息発作で亡くなっています。よって気管支喘息の治療は、日頃から十分に気道炎症を抑え、発作のない状態を維持することが重要です。気道の炎症を抑えるステロイド吸入が予防の基本となります。ステロイドと聞くと副作用が心配になると思いますが、吸入薬なので、うがい等、医師と話し合いながら正確に吸入する事で、副作用を極力抑えることができます。

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肺気腫

肺気腫(COPD)は、主に喫煙により生じます。60歳以降に急に症状が出てくる事が多いです。スパイロメトリー検査で気流閉塞(FEV1.0%)を調べます。症状は、歩行や駅の階段など労作で呼吸困難を自覚し、運動や身体活動性が低下し、骨格筋が痩せて(廃用)、更に呼吸困難が増加する悪循環です。また、全身性炎症を伴い、様々な肺以外の疾患が併存することが多いことから、全身性疾患として捉えられるようになってきました。その事から、高血圧症などの心疾患、高脂血症、糖尿病、胃食道逆流症、骨粗鬆症、前立腺肥大症、気管支喘息、気管支拡張症など、併存疾患も含めた全身管理や日常生活習慣病の管理が重要となります。

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肺結核

結核は結核菌による感染症です。ほとんどが飛沫感染(空気感染)で排菌者から咳とともに排出された結核菌を吸い込み感染します。平成26年度に保健所に登録された結核患者数は1万9615人で、周囲の人にも感染性が高く、喀痰中に菌が認められる患者数は7651人です。新発生患者の半分以上は65歳以上で、過去に感染した菌が再び発症する再燃と呼ばれる病態です。一方、39歳以下でも2600人以上が発症しており、若年者層を中心に新たな感染と発病が起こっています。すでに感染している潜伏性結核感染者は2000万人いると推定され、忘れてはならない身近な病気なのです。微熱や熱のない長引く咳が続く時は、「結核かも。」と疑い、マスクをし、受診してください。胸部レントゲン検査や喀痰検査を行います。

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アトピー咳嗽

アトピー素因があり、喉や気道が「ヒリヒリ」「イガイガ」「ムズムズ」する症状があるとアトピー咳嗽を疑いますが、咳喘息との鑑別が難しいです。その他、床に入って数時間と、朝起きてから数時間の痰が絡む咳がアトピー咳嗽。一晩中や、朝方の眠れない程の激しい咳が咳喘息。と言われますが、明確な症状では無い事も多いです。また副鼻腔炎の鼻汁の垂れ込み刺激で咳が出る副鼻腔気管支症候群や副鼻腔炎の事もあり、ただ延々と薬を増やしていっても診断が間違っていると症状は改善しません。当院では患者様の症状をよく聞きながら適切な鑑別診断と治療を心がけています。症状に心当たりのある方はご相談ください。

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気管支拡張症

酸素を取り込む肺胞という部位に行くまでの空気の通り道である気管・気管支は、先に行くに従い2つに枝分かれして、23回分岐する頃にはミクロサイズになります。気管支拡張症は、この細くなっているはずの気管支が文字通り拡張する病気です。結核や繰り返す肺炎等の激しい炎症の後遺症で気管支拡張症になってしまう場合と、一部の中高年の女性に発症する事があります。この拡張した部分は気道の繊毛等の自浄作用や感染防御能が落ちてしまい、非結核性抗酸菌や緑膿菌などの細菌が慢性感染をきたしてしまう場合があります。日ごろから痰が多くて困っている方は、この疾患も念頭に入れて診察いたします。

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間質性肺炎

呼吸とは、酸素を体に取り入れ、人間の排気ガスである炭酸ガスを排出する事です。このガス交換を行う肺胞という組織を「肺実質」と呼びます。この風船のような肺胞がバラバラにならないように結びつけている結合織を「間質」と呼びます。間質性肺炎は、この間質が病的な炎症を起こし固く肥厚してしまい、酸素の取り込みに時間がかかってしまう疾患です。そのため歩くと体に酸素の供給が不足し低酸素となり、苦しくて動けなくなります。肺が線維化して固くなるため、肺線維症という呼び名もあります。間質性肺炎は原因不明の特発性間質性肺炎と、膠原病、薬剤性、喫煙など原因が分かっているものに大別されます。当院では、聴診、胸部レントゲン、肺機能検査、採血検査で、診断や重症度を判定します。以前はステロイド薬が治療の中心でしたが、最近になり抗線維化薬が第一選択となりました。間質性肺炎のタイプにより治療も違ってきますので、各基幹病院の専門科とも連携して治療を行っています。通院困難となった場合は、在宅訪問診療にも対応いたします。(診療エリア外は要相談)

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肺がん(転移性肺がん)

当院では肺がん検診や、諸症状で来院された方の胸部レントゲンの異常陰影や喀痰細胞診等で疑わしい結果が認められた場合、患者様の希望される近隣の大学病院や基幹病院の専門外来をご紹介いたします。その後、専門的な治療を終えられた方、経過観察の方、病院からの依頼による投薬継続や経過観察に対応します。また、残念ながら進行し、「最期まで自宅で過ごしたい。」と希望される方には、訪問看護ステーションと連携して在宅緩和ケアを行い、在宅看取りにも対応します。(当院の診療エリア外は要相談)

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閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)

OSASはObstructive Sleep Apnea Syndromeの略です。日常生活に支障を及ぼす異常な「いびき」です。眠ると舌が喉の奥に落ち込み窒息状態になります。この無呼吸状態が多いほど重症です。この疾患があると、心血管系疾患の死亡リスクが5倍以上に上昇します。また治療が必要な患者様の85%が未受診と言われています。「いびきがひどいね。」と言われている方、日中に何かしている時に急に寝てしまう方、一度ご相談ください。診断にはアプノモニターやポリソムノグラフィ―で診断基準を満たしているか確認します。治療はダイエット、眠る時に鼻に装着する経鼻式人工呼吸器、耳鼻科的手術等があります。しっかり診断して適切な治療を行う必要がありますので、当院では必要に応じて各基幹病院の専門外来をご紹介します。連携しながら適切な治療継続を心がけます。

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喀血・血痰

喀血は文字通り血を喀出する事です。動脈性の出血なので緊急を要します。例えば、右肺に病変があるなど出血する部位が分かっている方は病変がある方の体を下にして横になり、救急対応してください。一方の血痰は、痰に血が混じる状態です。肺がんや結核、気管支拡張症などの疾患に伴う症状の事が多いですが、気管支炎などの急性感染症の炎症が強い時にも痰に血が混じる事があります。いずれにしても早めに受診してください。

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禁煙外来

健康保険が使えます。
禁煙治療が保険適用になるためには、患者様が以下の要件をすべて満たす必要があります。

  1. タバコ依存スクリーニングテスト(TDS)にて5点以上
  2. ブリンクマン指数(1日喫煙本数×喫煙年数)が200以上
  3. ただちに禁煙することを希望している
  4. 治療プログラムについて説明を受け、該当治療を受けることについて文書で同意
  5. 前回の禁煙治療(治療開始日)から1年を過ぎている

以上について初診時に診察・面談を行います。
治療期間は3か月間です。一緒に頑張りましょう!

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